特別な人が集まる場所ならどこへでも

あるところに貧乏ですが心暖かいお母さんと息子が二人で暮らしていました

お母さんは生活の為にせっせと仕事をしていましたが、その日は久しぶりにお休みでした

―今日は絵本を読んであげようね

―わ〜い、お母さんありがとう!

その日お母さんが読んであげたのは水の雫さんが主人公

水滴の一生を描いた物語でした


最初は笑顔で聞いていた男の子でしたが、絵本が読み終えた頃にはどういうわけか険しい表情になっていました

―あら、面白くなかったかしら


お母さんは少し残念そうに言いました

―ううん、違うよお母さん

―それじゃあ、どうしたの?

すると男の子は絵本のあるページを開いて、水滴さんの笑顔を指差して言いました

―これは一つ一つが人格を持った物だよね?

―え…ええ、まあそうねぇ

お母さんは男の子が突然難しい言葉を使い始めたので少々面食らいました

―でも水滴は触れ合ったら一つになってしまうよ、そしたら人格はどうなるの?

―?

―ねぇ、おかしいでしょ、嘘っぱちだよ、この絵本

―…

男の子が言いたいことはわかりましたが、何故こんなにも幼い子供がそんなことを言い出すのか

お母さんは目を丸くしました

―いいの、これは絵本なんだから

―そっか


その夜、男の子の寝顔を見ながらお母さんは少し哀しそうな顔をしました

―きっとこの子は頭がいいのね




後に男の子は立派な研究者となりました
作者: BLITZ
閲覧数:749
2008/01/28 00:01:02公開

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