幽霊船長

「戦闘止めッッ!!!!」

幽霊船長が叫んだ。

そのあまりにも大きい声に、海賊はもちろん、クレイの部下たちまで剣を止めてしまった。

「見ての通り、お前らの船長……あんた、名前は?」

「海賊に名乗るなど……」

「いいから早く!」

「………クレイ。クレイ少佐だ……」

「よし、じゃあクレイ少佐。剣を捨ててもらおうか」

ピストルを構えたまま、幽霊船長が言う。

クレイは言われるままに剣を捨てるしかなかった。

「え〜、どこまで言ったっけ…」

眉間を押さえて考える幽霊船長。

「船長、最初の辺りです」

色黒な男が言った。

「ああ〜そうだそうだ!あんがと。えー気を取り直して……お前らの船長、クレイ少佐の命は、見ての通り俺たちの掌の中にある。取り敢えず降伏してもらえるかな?」

逆らえるわけがない。






「取り引きはこうだ。俺たちがこの辺りから消えるまで、手を出さない。証拠として、クレイ少佐を途中まで連れていく」

依然、クレイにピストルを突きつけたまま、幽霊船長は悠々と言い放った。

「わかった…」

了承できるわけがないのだが、するしかない。

そのまま、海賊船に乗せられる。

「ようこそ、海賊船【マリア号】へ」

「クソ……」

「そう怖い顔すんなよ…。歓迎するぜ?」

クレイの耳下で言うと、幽霊船長はテキパキと出航の命令を出し始めた。

だんだんとクラウン号が離れていく。

その時、一瞬だけピストルの銃口がクレイの頭から外れた。

「だっ!」

一気に幽霊船長に掴みかかり、数秒の揉み合いのうちに、クレイはピストルを奪うことに成功した!

「形勢逆転だな…幽霊船長!!」

今度はクレイがピストルを幽霊船長に突きつけた。

「やっぱりヤるな〜お前。海軍にしとくのがもったいね」

ピストルを向けられているというのに、幽霊船長の態度は変わらない。

「さあ、クラウン号に戻ってもらおうか」

数秒の沈黙の後、幽霊船長はゆっくりと口を開いた。

「イヤだね」

「はぁ?」

「だからイヤだっつたんだ。撃つなら撃てよ。ほら」

つかつかとクレイに歩み寄り、ピストルの銃口を自分の眉間に押し当てた。

「くっ…」

撃てるわけがない。今ここで幽霊船長を殺せば、クレイの命はないのだ。

しり込みするクレイを見て、幽霊船長は動いた。

おもいっきりクレイの腹を蹴っ飛ばす。

「うごっ!」

あまりの威力に、クレイの体は手すりを乗り越えて、海に落ちてしまった。
作者: オカピ
閲覧数:570
2008/06/21 00:19:30公開

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