お嬢様、お呼びでしょうか。O

苺は何も知らされぬまま、クリスマス・イヴ――前夜祭を迎える事になった。

「・・・・・・」

零と向かい合わせにテーブルを囲んで、苺はフォークを手にしたまま、あの言葉の意味を考えていた。どうにも分からない。零が何を考えているのか。たとえ分かったとしても、彼女にはまだ、そぐわない。苺は、まだ17だ。故に、まさか本当に彼がそのような事を考えていようなどとは、思いもしなかったのだ。

(‥ホンマに何考えとんねやろ‥)

そこまで考えて、苺はある事に気が付いた。

(ひょっとして‥)

だが、直ぐに思い直す。

(まさか‥な。そないな事、あるハズないやんな)

「――お嬢様」

「‥?」

「どうかなさいましたか」

「‥‥この前言うとった事――そろそろ教えてくれてもええんとちゃう?」

「あ、そうですね‥」

そう言って零が立ち上がろうとしたその時。

―――ピシャアーン!
「!?」

落雷だ。

―――パリィン‥!

窓ガラスが割れ、キャンドルの灯が揺らぎ、カーテンが翻る。

「――な‥」

―――フッ。

「!」

シャンデリアの明かりが消えた。

「停電‥!?」

「――ご安心下さい。只の気象現象ですから」

―――シュッ。

零は消えたキャンドルに再び火を灯した。

「とはいえ‥‥困りましたね‥。取り敢えず復旧するまで暫く待ちましょうか」

「うん‥」

――2人は席に戻ったが、一向に明かりがつく気配はない。

「‥‥」

段々と苺が耐え兼ね始めた事に気付いて、零はとうとう切り出した。

「少ししたら‥バルコニーの方へ来て頂けますか」

「‥え」

「――待ってますから」

零はそれだけ言い残すと、一足先にそこへ向かって行った。

「・・・」

独り取り残された苺は訳が分からないまま立ち尽くしていたが、テーブルの方へ戻ると、ぎこちない手つきでプディングの塊を切り始めた。

「‥!?」

―――カラン。

中から、何かが出て来た。

「‥‥!!」

間違いない。それは紛れもなく、それだった。

「――‥」

突然、目の前に転がり出した婚約指輪――。

「ぜ‥‥絶ッッ対、有り得へん。‥これはただの‥」

いや、本当にそうだろうか‥?

そんな事を思った後で、

だがもしもそうなら、どう応えたらいい?

と自らに問い掛ける。

「‥‥ホンマ何考えとんねん‥」

苺は震える手で指輪を握り締め、約束の場所へと向かった。
作者: ヒイラギ
閲覧数:549
2008/06/21 00:20:11公開

■作者からのメッセージ
この後どうしよう‥。どう繋げて行けば‥??
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