朝靄の馬車 4

「Arioか、いい名前だ。しかし私の脳みそは小さいのでな必要な情報が既に詰め込まれている。すぐに忘れてしまうかもしれないが、お前の名前は忘れないでおいてやろう。」
馬車の揺れるリズムに合わせて器用に片足で立ってみたり、床の木目から木目へジャンプしてみたり。とにかく落ち着きのない鼠でした。
「質問を続けようArioよ、お前はこのあと自分がどうなるか知っているか。それを知っていてこの馬車に乗り込んだのか。それならお前は変な奴だよ。」
「この先どうなるかはわかりません。それでもあの村で生きていくよりは希望があったのかもしれません。しかし自分でもよく分かってないのです、ただ外の世界で生きたかった。」
鼠が少し笑ったような気がしました、しかし鼠の顔は笑うことを表現するにはあまりにシンプルで、結局声で判断するしかありません。
「そうか、君は生きることに希望を見出そうとはしているんだな。誰かに強要されず馬車に乗るなんて、珍しい人間だなと思っていたが。
 なるほど、無知のせいで君は進んで売られていくのだね。最近では牛のほうが君より頭がいいのかもしれない。」

作者: SMIRNOFF
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2014/03/24 00:01:41公開

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