朝靄の馬車 5

「この馬車の終点が希望のはずがないだろう、なんたって人が人を売るのだから業の深い所業だよ。人間ていうのは何処までも自分の都合で生きる。」
鼠は声のトーンを落として、Arioの鼻先で続けます。
「この馬車は二日かけて遠くの少し大きな街を目指している、そこは温泉が有名で、その次に娼婦街が有名だ。
 お前の行く末は、良くて大金持ちのペット。最悪の場合は即にオークションで裁かれる。
 ペットになれば安心だ、二十を超えるまでは死ぬ心配もない、ある程度の食事と治療は施されるだろう。
 オークションは最悪だ、身体の部位ごとに値段をつけられパーツで売られる。採れたての若いパーツはいい値が付くだろう。
 しかし今回はたぶん手頃な娼婦館で落ち着くだろう、そこでも行く末は死だろうが。ろくな衛生環境でもないし、二束三文で汚い男に朝から晩まで嬲られる。
 三十まで生きなければ脱出は不可能だし、なにより最後は薬と性病で永くは生きられない。」

作者: SMIRNOFF
閲覧数:506
2014/03/25 00:03:16公開

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なし。
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